新製品を特許だけでなく意匠で守る

特許のみの保護による問題点

外観だけ真似した模倣品

見た目は同じだけど機能が異なる模倣品が販売されている場合、その機能の特許を取得してもデザインまでは保護されません。一般消費者は、外観が同じ模倣品を正規品と間違えて購入してしまうかもしれません。さらに、他社がまったく別の名称で販売している場合には、商標侵害も主張することができません。

形状だけで何の技術的な効果も生み出さない場合には、特許の取得は困難です。このような模倣を防止するためには、意匠権によるデザインの保護が有効です。

デザインでの保護例

ワコールのCW-Xは、特許だけでなく意匠によっても保護されています。CW-Xのような機能性タイツは見た目にも特徴があるため、意匠の保護対象となりえます。

CW-Xは、テーピング機能が幾何学的模様となっており、見た目にも特徴がある。そこで同社は下半身、上半身、膝など各部用の商品ごとにデザインも意匠登録した。理由は「模倣品は見た目だけをまねて機能がない場合も多く、特許だけでは守れない」からだ。

【引用】2015年4月20日 日本経済新聞より

意匠によるデザイン保護という選択

特許・商標で守れないものは意匠で

意匠の場合、模倣品が完全に同一でなくても、登録した意匠に類似している場合には意匠権の侵害となります。従って、模倣品が似たデザインの製品を販売したた場合でも、意匠権により模倣品を市場から排除することができます。

意匠は、特許よりも早期に権利化することができ、料金も特許と比較すると安いです。ただし、特許と同様に新規性・創作性が必要とされるため、製品販売前に意匠登録出願する必要があります。

意匠は設定されてから20年間有効であるため、特許(出願から20年)よりも長く保護を受けることができます。

意匠の国際出願

意匠権を国内外に一括で出願することができるハーグ協定による国際出願を利用することで、簡単に外国に意匠を出願することができます。出願した意匠は、各国の審査を経て1年半以内に登録されます。

外国での販売を考えている場合には、各国に個別に出願する場合に比べて、手続も簡単になり費用的にも安価になります。