特許権・商標権で模倣品の輸入を防ぐ

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税関の水際対策

輸入差止申立

輸入差止申立は、特許権、商標権、意匠権、実用新案権等を有する者が、税関に侵害品の輸入を差し止める手続です。権利者は、侵害品の写真など、侵害品を識別できるだけの資料と侵害している証拠を税関に提出します。差止することができる期間は最長4年間で、希望する期間を設定できます。

侵害品を輸入する輸入者との間で、双方に意見を述べる機会を与えて、輸入品が特許等を侵害しているかを判断します。判断結果が「認定通知書」として双方に送付されます。侵害品として認定されれば輸入品は没収され、侵害品として認定されなければ輸入が許可されます。

税関への差止申立には、特に手数料等はかかりません。ただし、代理人として弁護士・弁理士を利用する場合には事務所に対する手数料がかかります。

【リンク】税関 知的財産侵害品の取締り

差止の状況

2014年の輸入差止は、全体で約3万件あり、そのうち中国が92%を占めています。3万件のうち、98%が商標権侵害に関するものです。そのうち、バック類や衣類、靴などのファッション関連商品が半分以上となっています。

【リンク】財務省 侵害品の差止状況

並行輸入

並行輸入とは

並行輸入とは、国内正規代理店以外のルートから同じメーカーの製造した商品を輸入することです。従って、並行輸入は違法ではありません。

インターネットによって個人でも並行輸入が容易に出来るようになり、外国のほうが割安な場合も多いため、近年急増しています。ただし、並行輸入品は代理店の保証が無いため、故障等が起こっても自己責任となります。

特許製品について

特許製品の並行輸入では、特許製品の販売国で日本を除外することを第3者と合意し、特許製品上に日本を販売国から除外する記載がある場合には、第3者が海外で販売した特許製品を日本に輸入することは特許権の侵害になります。

輸入品に、“Not For Sale In Japan”と表示されている場合には、侵害品となる可能性が高いです。実用新案権や意匠権の製品についても、これと同様の基準により判断されます。

商標商品について

商標品の平行輸入では、以下の要件をすべて満たすと並行輸入品として認められます。つまり、商標権の侵害にはなりません。

  1. 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものである場合
  2. 当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視しうるような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである場合
  3. 我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該物品の品質管理を行いうる立場にあり、当該物品と我が国の商標権者が登録商標を付した物品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合

簡単に言うと、出所がしっかりしていて、同じ品質を担保する正規品であれば大丈夫ということです。