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数値限定の特許

数値の範囲を限定

数値限定の特許とは、各種パラメータの数値を限定する特許のことをいいます。例えば、層の厚み、原料の配合比率、材料の寸法等を限定する場合があります。請求項の中に数値が表現されている場合には、基本的に数値限定の特許となります。

特に、金属・材料系の出願では、添加する金属の割合や組み合わせによってその特性が大きく変化します。従って、この分野では数多くの数値限定の特許が出願されています。

特許にするために

特許を取得するためには、従来の技術に対して進歩性を有していなければなりません。数値限定の特許の特許は、その数値の範囲内で現れる優れた効果や異質な効果を有する場合に進歩性があると判断されます。

つまり、従来から行われていた組み合わせであっても、その配合比を変更して優れた効果が得られた場合には、特許を取得できる可能性があります。ただし、数値を範囲で限定した場合には、当該効果は、その範囲内すべてにおいて発揮されていなければなりません。

従来から行われていた技術であり、差異点が数値の範囲だけである場合には、その限定した数値の境界を境に顕著な差異を要求されます。

メリット

立証の容易性

例えば、化学の分野では数多くの数値限定特許がありますが、流通している物を分析することで、容易に特許を侵害しているかを判断できます。このことは、他社も理解しているため、特許の数値の範囲内での製造を躊躇するでしょう。

特許の成立性

例えば、その数値の限定に近い先行技術の文献に数値的な限定の内容に言及が無い場合には、比較的特許になり易いです。また、複数の数値限定を組み合わせることにより、進歩性を主張しやすくなります。

従来から当たり前であった数値範囲が特許になったため、紛争が起きているケースがあります。以下は、サントリーとアサヒビールとの特許紛争の例です。

飲食業界における特許紛争

サントリーは、ノンアルコールビールでエキス分、PH、糖質を特定の範囲に収めるという特許を取得し、この特許を侵害しているとしてアサヒビールを提訴しました。問題となった商品は、アサヒの「ドライゼロ」でサントリーの数値限定特許の範囲内でした。

アサヒに言わせれば「いずれも業界で当たり前につかわれる数値で特許としては無効」という。数値限定発明は製造方法に変化はなくても、ちょっとした配合の違いで著しい変化をとげる化学品に多い。ただ、既存の技術を含んで特許にされることも多く、「紛争を引き起こしやすい」。

【引用】2015年5月10日 日本経済新聞

化学の業界では、数値限定における訴訟が頻繁に起きていますが、これが他の業界にも広まってきています。上にも述べたように、製法の特許などにくらべて侵害が特定しやすいため、訴訟にも発展しやすいです。

数値限定特許の怖いところは、従来からある技術の数値を限定しただけでも特許になる可能性がある点です。逆に言うと、数値限定の特許が取得できれば強い特許に発展する可能性も秘めています。