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国際特許出願

制度の概要

国際特許出願は、1つの出願で約150カ国で特許を出願することができる制度です。ただし、国際特許を出願しただけで、すべての国で特許が有効になるわけではありません。

国際特許出願とは、「1つの出願で約150カ国で特許取得の手続を進めることができる制度」であって、「世界中で有効な特許」ではありません。国際特許出願をした後、特許の取得を希望する国ごとに移行手続を行い、その国の審査を経て特許となります。

手続の流れ

国際特許出願では、以下のような流れで手続を進めます。

国際出願
日本語・英語等で出願書類を作成し、出願手続を行います。最終的に特許を取得する際は、その国の言語に翻訳する必要があります。英語で作成しておけば、多くの国に移行する際に手続が楽です。日本語で出願して、各国に移行する際に英訳分を提出することもできます。
国際公開
国際特許出願から1年6カ月後に、国際特許出願の内容が公開されます。国際公開された特許は、以下のホームページから検索することができます。
【リンク】WIPO 国際特許出願サーチ
国際調査
米国・日本・欧州等の特許庁が特許の有効性について調査を行います。調査結果によって、国際特許出願が拒絶されることはありませんが、この結果が移行した国の審査の資料となります。調査の結果、特許になるのが難しいと判断されている場合には、特許の内容を補正することもできます。
国内移行
国際出願日から30カ月以内に、特許を取得したい国に移行手続を行います。日本語からの翻訳が必要な場合には、翻訳の期間を考慮して早めに手続を進めましょう。国内移行の手続は国ごとに行う必要があるため、国の数が増えれば、それだけ費用もかかります。

費用

国際出願をするためには、以下の費用がかかります。中小企業の場合には、特許庁の費用が数万円減額されます。この費用は、英語で出願書類を作成する場合、出願書類の量が多い場合や、国際調査を欧州特許庁が行う場合には大きく増額しますのでご注意ください。

【特許庁】     25万~
【特許事務所目安】 30万~
【合計】      55万~

この費用は、国際特許出願をして国際調査を行ってもらうための費用であり、国際移行する場合には、特許になるまでに1カ国につき約100万円以上の費用がかかります。外国出願の場合には、以下のように費用が加算されるため、金額も大きくなります。
[外国特許庁費用]+[外国事務所費用]+[日本事務所費用]=[トータルコスト]

米国等は、個人発明家や中小企業には特許庁費用の減免制度があって、特許庁料金が半額になります。該当する場合には、是非利用しましょう。

パリ条約に基づく優先権を利用した外国特許出願

手続方法

パリ条約の優先権は、日本した出願を12か月以内に外国に出願することができる制度です。出願日は、日本の出願日を基準として扱われます。

国際特許出願と違って、1つの国ごとにそれぞれ出願します。複数の出願を1つの出願にまとめて、外国に出願することもできます。

手続の流れ

パリ条約の外国出願では、まず日本に通常の出願を行います。そして、1年以内に外国にその国の言葉で翻訳した出願書類を作成して、出願手続を行います。

外国に出願した後は、その国の審査官によって審査され特許となります。費用についても、国際出願の移行後と同様に高額になりがちです。

国際特許出願との比較

国際特許出願では、出願してからその国に移行するまでの期間は30カ月でしたが、パリ条約の場合だと、外国に出願できる期間は、12か月となり半分以下です。本当に外国の特許が必要であるかを見極める時間が必要な場合には、国際特許出願が良いでしょう。

費用は、移行する国の数にもよりますが、数が多い場合には国際特許出願のほうが低廉となることが多いです。移行する国が少ない場合には、国際出願の手数料を考えると、パリ条約のほうが割安です。