冒認-01

【質問】
私の発明を他人が無断で許可なく特許出願をしていました。どうすればよいですか?

 

(1)特許の登録前

発明者に無断で出願された特許は、いわゆる冒認出願と呼ばれ審査によって拒絶されます(特許法第49条)。しかし、そうすると本当の発明者が特許を取得することができなくなってしまいます。

この場合には、特許を受ける権利(私は発明者であるという権利)を有するということの確認訴訟を起こし、確認判決を得ることによって単独で出願人の名義変更を行うことができます。

あるいは、その他人が出願した特許が公開される前(他人の出願から1年6カ月前)であれば、新規性喪失の例外という手続によって、自らが出願することができます。

(発明の新規性の喪失の例外)
第三十条  特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。

(拒絶の査定)
第四十九条  審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
・・・
七  その特許出願人がその発明について特許を受ける権利を有していないとき。

(2)特許の登録後

特許権を有している他人に対して特許権の移転請求をすることができます(特許法第74条)。ただし、他人と共同で発明した場合には、移転請求をすることができるのはその持分に応じた範囲となります(特許法施行規則40条の2)。

移転請求が認められると、特許権は初めから自分に帰属していたものとみなされます。補償金請求権(特許法第65条)についても、同様に認められます。

(特許権の移転の特例)
第七十四条  特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
2  前項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたときは、その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該特許権に係る発明についての第六十五条第一項又は第百八十四条の十第一項の規定による請求権についても、同様とする。
3  共有に係る特許権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、前条第一項の規定は、適用しない。

(特許権の移転の特例)
第四十条の二  特許法第七十四条第一項 の規定による特許権の移転の請求は、自己が有すると認める特許を受ける権利の持分に応じてするものとする。

なお、実用新案や意匠についても同様の移転請求が定められています。

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