【質問】
Q.1つのデザイン・コンセプトから生まれた複数の意匠はどうすれば保護できますか?

 

 

1.関連意匠

1つのデザイン・コンセプトから、複数の似たようなデザインが同時に生まれることはよくあります。これらのデザインを漏れなく保護するためには関連意匠という制度が有効です。

関連意匠では、複数の意匠のうちから1つの本意匠を指定し、それ以外を関連意匠とします。本意匠は、必ず関連意匠と類似でなければなりません。しかし、関連意匠同士は類似である必要はありません。

従って、デザイン・コンセプトのコアとなる意匠を本意匠とし、本意匠から生まれた派生的なデザインを関連意匠とします。

本意匠も関連意匠もそれぞれ独立した意匠権であり、権利範囲はなんら違いがありません。ただし、関連意匠の存続期間の末日は、本意匠と同じになります。意匠は、登録されてから20年が権利の存続期間となりますが、関連意匠の場合には、20年に満たないことがあります。

また、本意匠を他人に譲渡する場合は関連意匠も一括して譲渡しなければならない、質権の設定も同時に行わなければならないなど、一定の制約があります。

2.出願のタイミング

意匠は、原則として販売・公開される前に出願しなければなりません。ただし、公開してから6ヶ月以内であれば、新規性喪失の例外の手続を行うことにより出願することができます。また、同一または類似の意匠が出願された場合には、早く出願した方が登録になります。

通常の意匠登録出願をした後、出願した意匠をコンセプトとしたバリエーションの意匠が生まれた場合には、先に出願した意匠の登録公報発行の日前であれば関連意匠として出願することができます。

3.戦略的な意匠登録出願

意匠の類似する範囲というのは、どうしても曖昧になってしまいます。同一であるかは一見して分かりますが、類似というのははっきりしないというケースもけっこうあります。そんな場合には、関連意匠を利用することで類似する範囲をある程度明確化することができます。

1つのデザイン・コンセプトから生まれた複数の意匠を守るという趣旨のもと定められた制度ですが、類似範囲の策定といった利用法も考えられます。

また、複数のデザインのうち、どれを本意匠とすべきか悩ましい場合には、あえて本意匠と関連意匠とを指定せずに出願する場合もあります。審査官の審査結果に基づいて、必要に応じて関連意匠に補正することにより登録に導くことができます。

2017年5月6日

 

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