製品ライフサイクル(衰退期)と知的財産

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が生まれてから市場に出て、市場から撤退し衰退するまでの一生を表しています。一般的には、製品単価は時間とともに緩やかに経過しますが、製品売上高は、緩やかな山なりのカーブを描きます。

以下では、製品ライフサイクルの衰退期における知的財産権の考え方について解説します。

衰退期

衰退期は、製品の売上高も利益も減少傾向となり、最終的に市場から消滅していきます。価格を下げても市場が縮小傾向にあるため、売上が伸びず利益率も下がっていきます。例えば、レコードやCD、写真フィルムなどが衰退期となった市場です。

衰退期では、できるだけ衰退の時期を遅らせてロングセラー商品とするための施策、又は早期撤退などが行われることが多いです。

ロングセラー商品とするためには、競合が撤退した小さな市場で大きなシェアを獲得することが挙げられます。ただし、衰退期の製品に対してマーケティング等の投資を行ってもリターンが小さいため、必要最小限とします。また、日本ではすでに衰退期である製品であっても、海外に市場を見出すという選択肢もあります。

事業の撤退を行うには、雇用問題、既存顧客や取引先との問題、他の事業部への影響等を考慮し、既存事業への影響が最小限となるように円滑な撤退が望ましいです。

知的財産権

既に市場は衰退しているため、知財の投資は積極的に行うべきではありません。小さくなった市場での差別化戦略をとる場合には必要最低限の特許取得が必要ですが、撤退を考慮するのであれば製品に関連する知的財産の棚卸を行います。

特許は維持しているだけで毎年数万の維持年金がかかります。特に、登録から10年目以降は、毎年7万~/1件のコストがかかるため、使用していない特許は維持年金を納付せず放棄します。その製品には使用してなくても他の事業で使用している知財は保持しつつ、不要な特許を見定めて知的財産権の整理を行います。