開放特許の活用法~中小企業の技術開発~

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開放特許について

開放特許とは

開放特許とは、企業が自社で独占することなく一般に開放した特許のことです。大企業は、多数の特許を保有していますが、すべてを自社で実施しているわけではなく、休眠特許と呼ばれる使用していない特許も多数存在します。

現在登録されている140万件の特許のうち、おおよそ70万件が休眠特許といわれています。一般に公開されている開放特許はネット上で検索可能で、約4万件が登録されています。地方自治体や大学、大企業が自分のサイトで開放特許を紹介している場合もあります。

企業としては、ただ特許を眠らせておくよりも、広く社会に開放してさらなる技術革新の助けになればとの考えと、その特許を広く使用してもらうことで標準化を目指しその後の競争で優位性を保とうという考えがあるようです。

【リンク】開放特許情報データベース

開放特許の利用

開放特許を利用するためには、特許権者とライセンス契約を結び、ライセンス料を支払う必要があります。開放特許は、特許権を放棄したわけではないので、無償で勝手に使っていいというものではありません。

開放特許の活用

自社の強みを伸ばす

新製品の開発段階で生まれる特許には、多額の費用と多くの時間がかかっていますが、開放特許を利用することで、少ないコストで技術を利用することができます。新たな分野に手を出すよりは、自社の得意とする分野の強みを生かした技術分野の開放特許を活用することにより技術基盤を強化するほうが、効率的です。

ライセンスを受けた特許をもとに製品開発を行った結果、その特許をヒントにして新たな特許が生まれる可能性もあります。そうすることで、新製品に更なる付加価値が生まれます。また、このようなイノベーションの促進が開放特許の目的でもあります。

休眠特許でライセンス収入

もし、自社の特許で実施予定がなく、一般に開放しても良いと思われる場合には、上記の開放特許データベースに登録してもよいかもしれません。特許を使いたいという会社があらわれて契約を結ぶことで、ライセンス収入を得ることができます。

開放特許活用時の留意点

自社の事業分野の特許であっても、その特許の裏には多くのノウハウが隠されている場合があり、即座に特許を活用できない可能性があります。ライセンスを受ける際は、特許の内容を十分に吟味する必要があります。