外国人の出願-01

【質問】
外国の発明者が発明した特許を日本で取得したいのですが?

出願人、つまり特許として登録されたときの権利者は誰にするかで、状況が変わってきます。外国の発明者(又は所属する企業)が出願人になることもできますし、商社として介在している日本の企業が出願人になることも出来ます。

1.外国の発明者(企業)が出願人になる場合

外国の発明者(企業)が出願人になる場合であって住所が外国のときは、日本国内の代理人を通して手続を行う必要があります。発明者が外国人であっても、日本に営業所を有する法人であれば代理人を通すことなく手続を行うことができます。

(在外者の特許管理人)
第八条  日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であって日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。

ただし、発明者の国が日本人に特許権の取得を認めていな場合には、その発明者(企業)が日本で特許を取得することができません。

(外国人の権利の享有)
第二五条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない外国人は、次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。
一 その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。
二 その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。
三 条約に別段の定があるとき。

2.日本の商社等が出願人になる場合

原則として、発明を行った者は「特許を受ける権利」を享受し、特許を出願することができます。従って、外国の発明者が行った発明を、発明者が所属する企業とは異なる日本の企業が特許出願する場合には、外国の発明者から「日本における特許を受ける権利」を譲り受ける必要があります。

譲り受けた日は、日本における出願日の前である必要があります。後のトラブルを防ぐために、書面やメールなどの文書でやりとりを残しておいたほうが良いでしょう。

外国の発明者と日本の企業とが共同で行った発明を日本に出願する場合には、日本企業が単独で出願人となる時に外国の発明者の特許を受ける権利を譲り受ける必要がありますが、共同で出願する場合には、その必要はありません。

共同で出願して特許として登録された場合には、それぞれが自由に実施することができますが、他人にその持分を譲渡するときに他方の合意が必要となるなど、一定の制約があります。

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平成29年6月11日

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