商標出願のメリット

商標の取得には、主に以下のメリットがあります。

  1. 他社のブランド棄損防止
  2. 販売中止のリスク回避
  3. 製品の信頼性向上
  4. 他社の特許取得防止
  5. 見えない技術の財産化

他社のブランド棄損防止

商標を取得することにより、他社が同一又は類似の名称を同じ商品やサービスに対して使用することができなくなります。これにより、競業他社のブランドのただ乗りやブランド棄損を防止できます。

ある商品がヒットすると、そのヒットに便乗するために同じような名称の商品が後発で模倣品として販売されます。まれに、完全同一の名称で販売されることもあります。そうすると、品質の悪い模造品によって正規品の品質が悪いと誤認され、ブランド価値が下がります。また、シェア拡大のために安売りすることでもブランド価値が棄損されます。このような事態を抑制するために、商標取得が有効となります。

ブランド価値は、一度下がってしまうと上げるのがとても大変です。ブランドとは目に見えない価値であり、それを数値化することはできませんが、一般消費者が特定の商品・サービスを選ぶ基準にブランドがあります。このブランド価値を守り、他社にブランドのただ乗りやポリューションをさせないために商標登録が有効です。

競業他社が登録商標を指定された商品・サービスに使用した場合には、即座に停止するように求めたり(差止請求)、損害賠償を請求することができます。

登録商標は電子図書館で公開されているため、他社が特定の商品・サービスに似たような名称を付けることを未然に防ぐことができます。つまり、他社は「この名称は他社が商標を取得しているから、異なる名称を付けよう」と判断します。

名称変更のリスク回避

登録商標は商標権者(つまり商標登録出願人)のみが指定商品・サービスに対して使用することができます。従って、新規商品を発売して間もなく商標侵害の警告が届いて、新規商品の名称を変更しなければならないというリスクを回避できます。

また、登録商標の使用を他人に許諾することができ(専用使用権、通常使用権)、これによりライセンス収入を得ることも可能です。フランチャイズ展開をお考えの方は、商標登録を本部で取得し、店舗出店希望者であるフランチャイジーに商標の使用ライセンス許諾を行います。また、一般社団法人を設立して会員を募り会費を集めるような協会ビジネスの場合も同様に、社団法人でブランド名の商標を取得し、会員がこの商標を使用する、といったことが行われています。

他社に商標を取得されていまうと、その名称を使い続けることができないため、事業開始後に名称変更となると多大な費用が発生します。商標の調査及び出願は、事業を開始する前に行うことが望ましいです。

自社商品の信頼性向上

商標を取得できたということは、その名称を独占的に使用することができるということです。従って、ホームページ等に商標取得済と説明することで、商品の信頼性向上という営業上のメリットがあります。

商品・サービスの名称が他社の商標権を侵害していることがなくなるため、顧客や取引先も安心して商品を使用する又はサービスの提供を受けることができます。

競業他社の商標取得防止

商標登録の内容は、出願後及び登録後に公開されます。商標は原則として早いもの勝ちであるため、同一の名称を同一の商品・サービスに対して出願した場合は、最も早い出願日の商標が登録され、残りは拒絶されます。

これにより、他社が同一又は近い名称で商標を取得することができません。商標では、同一名称でなく類似する近い名称であっても後発の商標登録出願は拒絶されます。類似する名称が使用されてしまうと、ブランド価値の棄損に繋がるためです。

見えないブランド価値の財産化

ブランドとは、目で見ることができない無形の財産です。商標を取得することで、そのブランドを権利として自社が保持することができます。第三者がそのブランド価値を認めてブランドを使用したい、という相談があった場合であっても商標を取得していないと、第三者が出願して商標権を取得してしまうかもしれません。

このようにブランドに化体した消費者・取引先の信用という非常に価値のあるものを保護するために、商標権の取得は非常に有効な施策となります。

商標出願のデメリット

特許出願の主なデメリットは、以下です。

  1. 権利取得までの期間
  2. 金銭的負担

時間がかかる

商標の出願から権利を取得するまでは、4~10か月の期間がかかります。ただし、早期審査制度を利用することにより2~3か月程度まで縮めることができます。ただし、早期審査は実際に商標を使用している、外国商標を行っている商標である、といった要件が必要になります。早期審査をご希望の場合は、別途ご相談ください。

金額的負担

商標を取得するためには、特許事務所に払う書類の準備費用や特許庁に払う費用等、特許取得までにおおよそ10万円以上かかると考えられます。ただし、各自治体の補助金制度(詳しくはこちら)を申請することにより、出願にかかった費用の1/3~1/2が交付されます。

金額的には高いとも思われますが、自社商品の包装変更、会社の看板変更、各種広告媒体の名称変更に伴うコスト増を考慮すると、一概に高いとは言えないかもしれません。