塾におけるテキストと著作権について

著作権が問題となるケース

塾では、さまざまなテキストや資料を作成するかと思いますが、資料作成時または配布時において以下の行為は著作権法上問題となる可能性があります。

  1. 第三者の作ったテキストや表・グラフなどをコピーして使用
  2. 市販の問題集をコピーして生徒に配布
  3. 1及び2の内容をネット上に公開

教育に用いる教科書に関する著作権は、一般社団法人である教科書著作権協会(JACTEX)が管理しています。協会では、著作権の利用許諾の申請等を受付けていますが、すべての著作物を管理しているわけではないため、認められない場合もあります。

著作物を販売する教材等に掲載する場合には、利用料として本体価格の4~5%程度の使用料が必要となるようです(JACTEX 使用料規定)。

なお、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したもの」であるため、数学の公式や定理、事実等は著作物とは認められず、著作権侵害にはなりません。また、表現を変えることによって著作権侵害とならないケースもあります。

著作物が自由に使える場合

著作権法では、私的使用等や教育目的の場合などにおいて、著作権の制限に関する規定を設けています(著作権法第30~第50条)。この規定に該当する場合には、著作権者に許諾を得ることなく著作物を利用することができますが、塾などの営利目的の経営において該当するケースは少ないでしょう。

著作権法では、学校その他の教育機関では「必要と認められる限度において」著作物の複製が認められます(著作権法第35条)。ただし、営利目的の教育機関は除外されるため学習塾などは対象外となります。

また、引用により許諾を得ることなく著作物を利用できますが、条件が厳しいため出典を表記すれば問題ないというわけではありません。

【関連リンク】著作物が自由に使える場合(文化庁)

過去には、一部上場企業の学習塾が、学校の教科書を無断でコピーして使用していたとして著作権侵害の問題に発展しています。著作権侵害が認められると、使用料の支払いやテキストの回収などの措置が執られます。学習塾におけるテキスト作成時または配布時には、著作権の取扱いに注意を払うように留意してください。