サウナと商標
2019年に放送されたテレビドラマ「サ道」の影響で、ここ数年サウナブームが続いています。街の銭湯のサウナでも、サウナハットを被ったお客さんを見ることが少なくありません。サウナ好きな知的財産権の専門家として、サウナと知財について少しご紹介したいと思います。
サウナのは、2000年以上前にフィンランドで生まれたとされており、蒸し風呂として日本に入ってきました。もちろん、従来から存在するサウナそのものを特許で独占することはできません。しかし、近年立ち上げられた新たなサウナブランドや独自性のあるサウナの構造については、知的財産権によってきちんと保護することができます。
商標とは
商標権とは、ブランドの名称やロゴマークに化体した信用を保護するための制度です。具体的には、「サウナ〇〇」というブランドを立ち上げたけど、後発で「サウナ〇〇」が質の悪いサービスを提供してブランドの価値が下がってしまった、という事態を防止します。防止するとは、警告等によって商標の使用を止めてもらうといったことがあります。
サウナのブランドとしては、例えば、サウナの名称、サウナで提供するサービス名、サウナ関連グッズの名前、が考えられます。その他に、サウナのトータルブランドとしての名称を登録することもあります。
商標登録の際は、指定商品又は指定役務を指定して出願手続きを行います。登録したい名称を何の商品・サービスに使用するかを限定します。サウナ関連であれば、以下のような区分が考えられます。他にも、サウナハットやガウン等のオリジナルグッズであれば、第25類「被服」等を指定する必要があります。
- 第11類 サウナ用ひしゃく、サウナストーン、サウナ装置
- 第43類 サウナ室の貸与
- 第44類 サウナの提供
登録要件
商標が登録されるためには、以下の要件を満たす必要があります。なお、以下に述べるのは最も拒絶される原因となるケースが多いものであり、厳密に言うと登録になるためには他の条件も満たさなければなりません。
類似する商標が登録されていない
先に、類似する名称が同じ商品又はサービスに対して登録されている場合は、商標登録を受けることができません(商標法第4条第1項11号)。これは、一般人が似たような名称の商品・サービスが複数登録されていると、混同を生じてしまうためです。
先に類似する商標が登録されているか否かは、以下の特許庁検索ページより検索することができます。
【関連リンク】J-Plat-Pat(特許情報プラットフォーム)
類似するか否かの判断は、個々の事例によって異なるため別途ご相談となります。
商品・サービスの品質等を表すものではない
「商品・サービスの品質を表す」とは、例えば、指定役務「サウナの提供」を指定して、商標「ハーブサウナ」と出願した場合、「ハーブを使用したサウナ」の意味合いを認識させるとして拒絶されています。
他にも、「Rocky Sauna」は「高温に熱した石を用いた低音で高湿のサウナ」の意味合いを想起させる、「デザイナーズサウナ」は「デザイン性の高いサウナ」の意味合いを認識させるとして、それぞれ拒絶となっています。
つまり、誰もが使用する可能性のある名称、又は既に多くのサウナや銭湯で使用されている名称については、登録される可能性が低くなります。このような名称を1者に独占的に使用させてしまうと、他の者が自由に使用することができなくなる等の不都合が生じます。
この要件に該当するか否かの判断は、以下の点を基準に個別に判断します。
- どの指定商品・指定役務を指定するか
- どんな名称か
- その業界でその名称はどのような使われ方をしているか
ご相談
弊所では、サウナ関連の商標のご相談を承っております。出願前の相談は無料となっておりますので、以下よりお気軽にご相談ください。