製品ライフサイクル(成長期)と知的財産

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が生まれてから市場に出て、市場から撤退し衰退するまでの一生を表しています。一般的には、製品単価は時間とともに緩やかに経過しますが、製品売上高は、緩やかな山なりのカーブを描きます。

以下では、製品ライフサイクルの成長期における知的財産権の考え方について解説します。

成長期

成長期では、製品の需要が高まって売り上げが急激に伸びる時期であるため、市場規模が拡大するとともに競合との争いも激化してきます。この成長期に競合他社の参入障壁を形成して参入させない、あるいは参入時期を遅らせることにより高い売り上げを確保することができます。

マーケティング

成長期では、販売チャンネルを最大限に開放して販売網の拡大、流通経路の充実を図ります。導入期では限られたイノベータに向けた宣伝広告を行ってきましたが、成長期は一般大衆に向けたマス広告を積極的に活用します。

不特定多数へ向けたメディアとしては、インターネット、テレビ、ラジオ等の媒体が考えられます。また、多数のフォロワーを有しているインフルエンサーを利用したインフルエンサーマーケティングも有効な手段となります。

知的財産権

競合他社が市場に参入するための参入障壁には、以下があります。

  1. 技術力の高さ
  2. 初期投資
  3. 法的規制
  4. 知的財産権

上記3つのうち、中小企業で形成することができるのは①技術力と④知的財産権です。②の初期投資が高くなる業種、例えば半導体等はそもそも中小企業が参入するような分野ではありません。③の法的規制では、例えば医療機器や士業に関わる製品・サービスは法的規制があるため参入が困難です。

①の技術力ですが、高い技術力を維持するためには長年の蓄積が必要となるため、一朝一夕では競合が参入困難な障壁を築くことは難しいという側面があります。④の知的財産権による参入障壁を形成することができれば、競合の参入を遅らせる、又は断念させることに繋がります。

1つの特許で製品をカバーすることは難しいですが、継続的に特許出願して知的財産を内部に蓄積することによって、参入障壁の形成だけでなく、他社の特許を使用したい場合のクロスライセンスの交渉材料としても活用することができます。