商品販売後に意匠を出願したい

販売後の意匠登録出願

意匠は、公になっていないデザインについて意匠権を付与する制度であるため、原則的に商品の販売後に意匠を出願することはできません。しかし、販売後、1年以内であれば意匠を出願することができます。

新規性喪失の例外

創作者の行為に起因して公になった場合には、公になった日から1年以内であれば新規性は喪失していないと判断されます。商品販売後、思いのほかデザインが好評のため意匠を出願したい場合等に有効です。

意匠の場合には、似たようなデザインや部分的に共通する商品を販売した場合であっても新規性喪失の例外の適用を受けることができます。従って、類似する姉妹品等を販売した後の意匠登録出願であっても新規性喪失の例外の申請をする必要があります。

もし、申請しなかった場合には、自らが販売した類似商品によって意匠登録出願が拒絶される可能性があります。

必要書類

商品販売等により公になった場合には、以下の内容を特定する書面を提出しなければなりません。同一の商品を複数回販売した場合には、最先の販売についての事実のみ記載すれば良いです。ただし、似たような複数の商品を複数回に亘って販売した場合には、すべての商品の最先の販売について記載する必要があります。

  1. 販売日又は配布日
  2. 販売場所又は配布場所
  3. 公開者
  4. 販売又は配布した物(意匠の写真等の添付が必要)

インターネットによって公開した場合にも、URLやホームページのアドレス及びページの印刷物が必要になります。

販売後に外国に意匠登録出願する

諸外国における新規性喪失の例外

日本と同様に、諸外国にも新規性を失った場合でも意匠登録出願が可能な制度が設けられています。例えば、米国であれば、1年間の猶予期間(グレースピリオド)が認められています。

欧州や韓国、中国においても所定の手続きを行うことにより、新規性喪失の例外の適用を受けることができます。ただし、欧州や中国については、商品販売等は認められず特定の展示会等に限定されるため、注意が必要です。