実用新案の発生と有効期限

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実用新案の発生

設定登録日

実用新案権は、実用新案登録出願が登録された日に発生します。出願後に簡単な審査が行われた後、登録となります。新規性・進歩性などの実質的な審査は行われず、方式的な審査のみ行われます。

登録後、出願人には原簿に登録されたことを示す通知として、実用新案登録証が送付されてきます。実用新案登録証に、登録日、登録番号などが記載されています。登録後には、登録実用新案掲載公報が発行されて考案の内容が公開されます。

【リンク】 特許庁 実用新案登録原簿(見本、pdf)

登録までの手続

実用新案登録出願は、出願から4~6カ月で登録になります。出願してから2か月以内であれば、出願の書面を補正することができます。審査の結果、書類に不備等があった場合には補正指令が発行されます。これには、手続補正書を提出して対応します。

実用新案では、その権利が本当に有効なものであるのかについて、審査されていません。他人が実用新案権を侵害している場合、実用新案技術評価書という書類を特許庁に請求し、その書類を添付して警告を行います。

実用新案登録の存続期間

実用新案登録出願

実用新案登録の存続期間は、出願から10年です。実用新案の存続期間は特許の半分であって費用も安く早期に登録されるため、ライフサイクルの短い製品に適しています。

他の出願形態

出願人が国内優先権を主張した場合の存続期間は、後の出願の出願日から10年となります。国内優先権は、先の出願から1年以内に主張することができるため、実質的に1年間存続期間を延ばすことができます。

【関連ページ】 国内優先権の活用~出願後に生まれたアイデアも保護~

実用新案登録出願は、分割することができます。分割した出願の存続期間は、もとの出願日から10年となります。特許出願や意匠登録から変更した実用新案登録出願についても、もとの出願日から10年です。

維持費用

実用新案を維持するためには、毎年登録料を支払います。登録料は、維持期間が長くなるにつれて高くなります。以下は、請求項の数が1つのときに毎年支払う登録料です。実用新案では、出願時に1~3年分の登録料を支払います。

  • 1~3年目    毎年 ¥2,100+(請求項の数×¥100)
  • 4~6年目    毎年 ¥6,100+(請求項の数×¥300)
  • 7~10年目   毎年 ¥18,100+(請求項の数×¥900)

特許出願への変更

実用新案が登録された後であっても、実用新案の出願から3年以内であれば特許出願に変更することができます。実用新案技術評価書の請求を行っておらず、特許出願が実用新案登録の内容に基づくことが必要です。

無審査の実用新案で登録したけど、やっぱり審査された強い権利の特許を取得したいという場合に有効です。実用新案登録を特許出願に変更した場合、もとの実用新案登録は放棄しなければなりません。