タイムスタンプの活用

タイムスタンプ

タイムスタンプとは

タイムスタンプでは、電子ファイルに埋め込まれたハッシュ値(電子的な印鑑のようなもの)を解析することによって、以下を証明することができます。

  1. 電子ファイルがタイムスタンプ押印日から存在していること
  2. 電子ファイルが押印日から改ざんされていないこと

タイムスタンプを提供しているのは一般の民間企業ですが、信頼性を確保するために電子認証局(CA)や日本データ通信協会(JADAC)などの公的機関からの認定を得ることにより事業を行っています。タイムスタンプを提供している主な企業は以下のとおりです。

費用については、会社によって異なりますが、月々定額で1000スタンプまで、あるいは押印数に応じて費用がかかる従量制といった料金体系が一般的です。

知的財産分野での活用

タイムスタンプを押下することにより、その日付に書類が存在していたこと、及び改ざんされていないことの証明となるため日付の証明が大切な先使用権の立証に役立ちます。

先使用権とは、特許の出願日よりも前にその発明と同一の発明を実施していた物は、継続して発明を実施することができるという権利です(特許法第79条)。

また、日々の研究記録にタイムスタンプを押すことで、発明者が会社内にいるときに発明したことが明らかとなり冒認出願の対策にもなり得ます。

具体的には、取引先に秘密保持契約を締結して新製品を情報開示したが、取引先がその特許を出願してしまったとき、新製品に関する情報はその特許の出願日よりも前に取引先の会社とは別の会社に存在していたことが証明できます。この主張が認められると、特許権登録後に相手に対して移転登録を求めることができます(特許法第74条)。

さらに、営業秘密情報にタイムスタンプを押下することにより、押印日に社内で文書が存在したことを証明できるため、証拠ねつ造などの疑いを晴らすことができます。

著作権については、創作年月日を確定することができるため、争いになった際に先に創作していたことの証明として利用することができます。

【関連リンク】先使用制度の円滑な活用(特許庁)

その他の用途

日付及び改ざんしていないことの証明として、医療分野における個人情報の保護、あるいは電子商取引や電子契約締結、あるいは建築分野における図面の保存などさまざまな分野で利用されています。

タイムスタンプ以外の日付立証手段

タイムスタンプ以外に日付を立証する手段として、公証制度があります。例えば、封筒にDVDなどのメディアに記録したデータを入れて開封できないように封印し、公証役場へ持参して確定日付をもらう方法があります。

封筒は開封してしまうと確定日付の効力を失ってしまうため、同一のデータを複数用意し、複数の封筒にそれぞれ入れて確定日付をもらうほうが良いでしょう。

また、最近では電子公証制度による日付情報の付与もあります。1件あたり700円と非常に安価となっています。

【関連リンク】電子公証(日本公証人連合会)