ゆるキャラと商標

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有名なご当地キャラクター

くまもん

くまもんは、2010年に九州新幹線開通に合わせて生まれた熊本県のマスコットです。県は、PRのために使用の申請があった場合には、審査を経て無償で使用できました。これにより、知名度が急上昇して関連商品の売上げは600億円以上に達しました。

これは、いわゆる「ロイヤリティフリー」と呼ばれ、一般消費者に広く知ってもらうための戦略です。最近、スマホのアプリで無料で漫画を読めるものがありますが、これもロイヤリティフリーの一つです。

ひこにゃん

ひこにゃんは、彦根城築城400年祭のイベントキャラクターとして生まれました。ひこにゃんも「ロイヤリティフリー」であったため、またたく間に広まり、多くの関連商品が出回りました。しかし、著作権者の意図しない改変が行われた(著作者人格権の侵害)として、原作者と彦根市との間でトラブルがありました。

最終的には和解したのですが、使用許諾は有償となり、使用できるデザインも制限されるようになりました。このようなトラブルを防止するためには、使用する側と原案者との間で使用可能な範囲を明確に定めておくべきです。

著作権と商標権でゆるキャラを保護する

著作権の管理

ゆるキャラを外部業者にデザインしてもらった場合には、著作権についての契約を結ぶことになります。その際、著作権についての譲渡を受けた場合には、移転についての登録をするべきです。権利の帰属を明確にしておいたほうが、後のトラブルを防止できます。

また、内部の人によってデザインされたキャラクターである場合には、著作権はデザインした人に帰属しますが、職務上創作した場合には、職務著作となり、著作権は組織のものになります。

商標でゆるキャラを守る

ゆるキャラの不正な使用を防止するためにも、キャラクターの名称及び図形を商標登録しておくことが良いでしょう。また、くまもんについては、キャラクター名称及び図形が登録されています。そのキャラクターがひこにゃんやくまもん並みに有名であれば、不正競争防止法によって保護することもできます。

商標登録する最大のメリットは、本来使用して欲しくない人に使用された場合、商標権に基づいて使用を中止するように求めることができます。例えば、キャラクターのイメージを損ねるような暴力的、反社会的な使われ方をした場合等です。