コーポレートブランドと商標権

コーポレートブランド

コーポレートブランドとは

コーポレートブランドとは会社名のことであり、企業そのものを表すブランド名です。例えば、自動車メーカーのホンダのコーポレートブランドは「ホンダ」であり、製品ブランドは「シビック」、「Nボックス」等になります。

近年は、コーポレートブランドを意識して松下電器が会社名を「Panasonic」にしたり、「富士重工」が会社名を「SUBARU」にしたりと、グローバル展開を意識して知名度の高いブランドを会社名に冠することが増えています。

コーポレートブランドは、第三者に粗悪品を売買されるとブランドに傷が付きイメージ悪化となるため、第三者に不正使用されないよう、管理する必要があります。また、グループ会社へのライセンスについても適切な使用を担保できるか等について検討します。

ブランドの保護

商標権

コーポレートブランドの保護に最も適した方法は、商標権の取得です。商標権は、他の商標と識別することができる商標が強いとされています。つまり、「SONY」や「UNIQLO」等の造語が強い識別力を有するとされています。

ただし、「TOYOTA」や「HONDA」などの人の名前であって識別力が弱いとされている商標であっても長期間の使用によりブランド力を獲得すると、強い商標となります。ただし、ここに至るまでには膨大な広告費やブランド管理費が発生しています。

したがって、これからコーポレートブランドを考えるという場合には、造語であることが望ましいです。

不正競争防止法

不正競争防止法では、他人の需要者の間に広く認識されている商品等表示と同一又は類似するものを使用することが禁止されています(不正競争防止法第2条第1項1号)。つまり、ある程度知られた名称等を同じ商品・サービスに使用してはいけない、ということです。

商標では登録された商標権に対して権利が認められ保護されますが、不正競争防止法では登録等の手続きが必要ありません。広く知られているブランドを保護するための規定であるため、マイナーなブランドについては保護対象外となります。

著作権

ロゴマーク等の創作性が認められて著作権の保護対象となる場合には、コーポレートブランドの著作権による保護が考えられます。ただし、単なる文字列や書体、フォントといったものについては著作権の保護対象外となるため、コーポレートブランドを著作権のみで保護することは現実的ではありません。

著作権を侵害した場合には、侵害者に対して差し止め請求・損害賠償請求を行うことができます(著作権法第112条~第114条

商号

会社の名称である商号は、商法・会社法によって一定の権利が認められます。商号とは会社の名称であるため、ロゴマークは商号の保護対象となりません。

他人が既に登記している商号と同一の商号は、所在場所が同一である場合に限り登記することができません。また、不正の目的をもって誤解されるおそれのある商号を使用することは禁止されています。有名な商号と似た名称を使用して、有名な商号の会社の商品であると誤認させることにより販売数を増やそうとするいわゆるブランドのフリーライド防止のためです。