単位と商標登録

登録可能性

商標の審査では、商習慣的に数量を表示する場合に用いられる以下のような単位は、原則として登録されません。

  • メートル
  • グラム
  • Net
  • Gross

指定商品との関係性にもよりますが、単位のみを文字で表記した商標の登録は困難といえます(商標法第3条1項6号)。例えば、指定商品「小麦粉」で商標「グラム」として出願した場合には、拒絶される可能性が高いです。

ただし、単なる単位として認識されない場合、例えば、ロゴ等を付してあったり、英語表記であってもスペルが異なっている造語であったり、数値が付記されている場合には、登録となる可能性があります。また、「グラム」という文字列を一部に含む商標についても、登録される可能性があります。

なお、既に類似する商標が登録済である場合には、拒絶されることとなります(商標法第4条第1項11号)。

登録される場合

登録例1

指定商品との関係で商習慣上数量を表示すると認められない場合には、単位が登録されているケースもあります。例えば、以下の「PIXEL」という商標は指定商品「眼鏡,眼鏡の部品及び付属品」として登録されています(登録第2529421号)。

「ピクセル」とはディスプレイ等で画像を表示するときの最小となる単位であり、眼鏡の商取引において一般に使用されるとは言い難いです。

登録例2

同じくコンピュータが扱いデータの最小単位を表す「ビット(bit)」ですが、こちらも指定商品「第29類 にがりを主原料とした液状・粉末状・夥粒状・錠剤状・カプセル状の加工食品」として登録済となっています(登録第4616925号)。

こちらも、食品等に対してコンピュータのデータ単位であるビットを通常使用するとは考え難いという理由で登録になっています。

まとめ

このように、指定商品との関係で登録になることも、拒絶されることもあります。指定商品・指定役務の業界内で頻繁に飛び交う単位であれば、登録は難しいとお考えください。なお、登録可能性についてご相談したい方は、こちらからお問い合わせください。