中古品の販売と特許権及び商標権

中古品の販売

特許権との関係

中古品を販売したら、特許権者の特許権の侵害となってしまうのでしょうか?これは、なる場合もあれば、ならない場合もあります。

原則としては、一旦販売した商品については、特許権は消尽するため中古品を販売する行為については特許権の侵害に該当しないとされています。そうしないと、全国の中古車屋さんやハードオフなどのお店はすべて特許権の侵害となってしまいます。

侵害となる場合

侵害となる場合は、販売される中古品が部品等の交換がなされていることにより、その中古品が特許製品の新たな生産に該当する場合です。例えば、インクカートリッジの内部を洗浄して新たに中身を詰め直して再販売する場合には、特許権の侵害となる可能性があります。

インクカートリッジについては、インク・カートリッジ事件(平成18(受)826号)として実際に最高裁判所で争われたことがあり、このときは特許権の行使を認めています。インクカートリッジがすべて該当するわけではありませんが、「特許製品の新たな生産となる」場合には特許権の行使が認められる可能性があります。

他の権利

実用新案権や意匠権についても、同様に消尽が認められるものと類推されますが、具体的な判例などはありません。

商標権と中古品

中古品には、当然ですがそのブランドのロゴやマークなどが残っています。しかし、このブランドのロゴが入ったままの状態で販売したとしても、商標権の侵害にはならないと解されています。

最高裁では「真正商品の並行輸入品を商標権侵害で訴えたが棄却される」という判決が出ています(平成14(受)1100)。これは、商標権の機能である出所表示機能や品質保証機能を害さないことが理由とされています。

つまり、誰もその中古屋さんが独自でそのブランドを製造したとは思わないということです。中古市場というものは一定の規模で存在し、一般人にも広く認識されていることから、商標権を過度に保護することにより市場が混乱してしまうのを避けているのでしょう。

ただし、上記の出所表示機能や品質保証機能が害されるような事態の場合には、商標権の侵害となるかもしれません。以下は、経済産業省からのリユース品やリブルト品に関する権利侵害に対する資料となりますので、ご興味のある方はご覧ください。

【関連リンク】リユース部品(経済産業省)