商標登録と種苗法と地理的表示(GIマーク)の違い

商標と種苗法とGIマーク

種苗法と商標とGIマークは、それぞれ以下のような特徴があります。

商標法種苗法GIマーク(地理的表示)
保護対象名称(ブランド)品種農林水産物(特定の産地で生産された真正品であることの証明)
権利存続期間永久
(10年毎の更新)
25年~30年取消されるまで有効(更新は不要)
侵害時の対応権利者が対応権利者が対応不正使用は国が取り締まる
外国の権利マドプロで一括出願各国ごとに出願
(UPOV)
同じGIマークの相互保護が実現すれば、その国でも保護される。

商標について

商標の保護対象は、名称及び名称に付随したブランドです。農水産物は、使用を継続することによって名称に業務上の信用が化体します。この信用を第三者に毀損されないために、商標を取得します。

ただし、種苗法で登録を受けた品種と同一又は類似の名称は登録することができません(商標法第4条第1項14号)。種苗法の登録品種とブランド名を異なる名称とすることによって、2つの法律で保護を受けることができます。

商標は、5年ごと又は10年ごとに更新を繰り返すことにより永続的に権利を保持することができます。従って、種苗法の権利存続期間が満了した後であってもブランド名の毀損を防止できます。

商標は、100カ国以上が加盟するマドリット協定議定書という国際条約があります。通称「マドプロ」とよばれる国際商標登録出願を利用して、複数の国における商標を一括管理することができます。

種苗法について

種苗法では、登録されている品種及び従属品種等が保護対象となります。種苗法に規定される育成者権によって、種苗、収穫物、一定の加工品等の生産・譲渡・輸入・輸出を独占することができます。

存続期間は、品種登録の日から25年とされており、樹木などの永年性植物の場合には登録の日から30年となります。この存続期間が経過した後は、誰でも自由に栽培・販売などをすることができます。

日本は、種苗に関する国際的な条約であるUPOVの加盟国です。UPOVとは、国際的な種苗に関する条約で最低限の保護期間や内国民待遇などの基本的な内容のみを定めているので、権利はそれぞれの国ごとに取得する必要があります。

地理的表示(GIマーク)について

地理的表示、俗に言うGIマークとは、その産地で生産された真正品であることを国が証明するマークのことです。従って、このGIマークが付されている農水産物は、間違いなくその産地のものであることが証明されます。地理的表示の特徴は、不正な使用については権利者自身ではなく国が取り締まってくれることです。不正な使用者には、行政措置として農林水産大臣の命令が出され、命令違反となった場合には3年(5年)以下の懲役または300万(500万)以下の罰金となります。

日本は、現在EUと相互保護の取り決めによって互いの地理的表示の農水産物を守っています。また、インドネシアやタイなどの国とも相互保護に関する協議を行っています。

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