商標出願中に同一の商品名で他社が販売を開始した場合

出願商標を発見したときの対応策

商標出願済であっても、商標権が発生する前は第三者の出願商標の使用に対して差止等を行うことはできません。しかし、以下のような対応策を執ることによって被害を最小限に抑えることができます。

早期審査

早期審査とは

商標登録出願は、通常であれば出願してから登録されるまで8カ月程度の期間を要します。特許庁の審査状況によって多少前後しますが、少なくとも半年以上はかかると思います。

早期審査を申請することによって、通常の出願よりも早く審査され2か月程度で審査結果が通知されます。申請してから2カ月で登録になったとしても、そこから登録料を支払って2週間程度で原簿に設定登録となって商標権が発生します。

実質的に原簿に登録となっても登録証が郵送されるのは登録料の納付からおおよそ1カ月程度かかるため、実際には早期審査をしたとしても商標権の発生までには3カ月程度かかります。

ただ、通常の審査よりは数カ月程度早く登録されるため、一刻を争うような場合には有効な手続となります。商標権が発生した後は、相手に対して警告を行い侵害行為を止めさせましょう。

【関連リンク】早期審査の概要(特許庁)

申請の要件

早期審査の申請には、「権利化について緊急性を要する出願」であることとされています。これは、出願している商標を他人が使用している(使用の準備でも可)場合に、対象となります。

早期審査の申請に際しては、特許庁への費用はかかりませんが特許事務所の費用がおそらく数万程度必要になります。

また、出願した商標を使用している相手の住所・氏名、使用している場所、使用している商品又は役務を示す書類を提出します。従って、相手の商標使用の詳細がわかる書類を準備しなければなりません。

金銭的請求権

出願商標を使用している相手に対して、警告を行うことにより登録後に金銭の支払いを請求することができます(商標法第13条の2)。

支払を請求できるのは商標権が発生した後であり、請求できる金額は業務上の損失に相当する額となっています。この請求は、3年以内に行わなければなりません(民法第724条)。

従って、商標権が登録されなかった場合には何らの請求権も発生しなかったものとされます。

出願中に他人に出願商標を使用されている場合、又は早期審査をご希望の場合には、こちらからご相談ください。[insert page='tel' display='content' ]